この「王様の仕立て屋」累計150万部突破ということで、この19巻と同時に傑作選1として「ナポリ発 スーツ革命」というのも出ています。150万部、、、と一口に言いますが、萌え系の女の子もほとんど出てこず、基本は服を通じて全てを解決していくという美味しんぼの衣服バージョンであって、絵柄も華麗なものではないのにもかかわらず(ファッション漫画としてはある意味すごい)、ここまでの部数が出ているというのはただ事ではありません。それだけの中身があって、という話で、ファンとしては嬉しい限りです。
この19巻は基本に立ち戻ってということで、ナポリの田舎町でサルトを開いている主人公・織部悠のもとに持ち込まれる様々な悩みを、悠が自らの仕立てる服で解決していく短篇が6話収録されています。どれもが綺麗にオチがつき、人情話としてもよく出来ています。個人的には、「孔明の罠」という話が一番気にいりました。応援しているサッカーチームの監督にプレゼントされたモードスタイルのネクタイを前に、モード服とクラシック服の狭間で揺れるレストラン店主の悩みと解決を描いた作品なんですが、クラシックとはなんぞや? という事を掘り下げて描いていて、話、落ち、人情味、蘊蓄の配合バランスがよくて彼らしい作品でした。この調子なら作品もまだまだいけそうで、安心しました。
傑作選も出た人気作!おすすめ度
★★★★☆
収録内容
・order110 ロミオの青い空
跡継不足の煙突掃除、頑固親方の最後の弟子も遂に転職・・・しかしその真の理由は・・・
・order111 沈黙の艦隊
父からの深刻な話にようやく危機感を抱いた白鳥さん〈笑)はマッシモに相談を持ちかけるのだが・・・
・order112 セビリアの理髪師
ぺっつおーり氏協賛のヘアスタイリストコンテスト、そこで決勝まで残ったカルボネッラだったが・・・
・order113 布袋尊の腹
アメリカの長者番付にも載っている天才プログラマー、メディアに一切出ないと有名な彼に仕立て服を作ることになった織部は・・・そして最近のユーリアの悩みは・・・
・order114 孔明の罠
カサルヌオボの親方に下職を持ってきた織部、丁度そこにいた有名料理店のオーナーの悩みを聞くことに・・・
・order115 墓場の鬼太郎
親方に頼まれて鮫革の靴をお客に届けたヴィレッダだったが・・・
毎回仕立て服のことだけでなく、マルコのおかげ(笑)で料理にも詳しくなれるシリーズです。
今巻の個人的お気に入りは布袋尊の腹ですね、あれだけ忙しかったジラソーレ社で残業が減った本当の理由って〈笑)・・・
上出来
おすすめ度 ★★★★★
出来は非常に良いです。従来の伝統を引き継ぎつつ、バランスがうまくとれてます。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。