作品が作者の考えた年代順に並べられていて雰囲気がつかみやすいです。持ち歩きにも便利で写真もだいたいきれいに見えるちょうど良い大きさの本です。語り口調で文章も読みやすいので手軽に読めます。この本を読んでからオランダに旅行に行ったら、全てのフェルメールの作品に親しみがもてました。
フェルメール作品の親しみやすい水先案内書おすすめ度
★★★★★
21cm×15cmの縦長サイズの新潮社「とんぼの本」シリーズの一冊。フェルメールの絵を綺麗なカラー図版で見たいと思い、カバーを飾る絵(『天秤を持つ女』)が魅力的な本書を購入しました。
オランダはデルフトに生まれた17世紀の画家、ヨハネス・フェルメール(1632-1675)。彼の作品とされる32点のすべての絵が、鮮やかな彩りのカラー図版で収録されていたのが、まず嬉しかったですね。
さらに、制作年代順に、それぞれの絵のスタイルの変化やモチーフの共通性などを案内しながら、光と静謐さをたたえたフェルメール作品の魅力を解き明かしてゆく小林頼子氏の文章が見事。読者に話しかける口調を採った語り口に違和感はありました。しかし、言っていること自体は説得力があり、なるほどと頷かされるものでしたね。フェルメールの絵はそれまでほんの数点しか知らなかった門外漢のわたしにも、とても分かりやすい案内文であり、レクチャーでした。
1654年から1675年にかけて描かれたフェルメールのすべての絵が傑作だとは思えなかったけれど、1658年から1668年の十年間の絵には強く惹きつけられましたねぇ。「窓辺で手紙を読む女」「牛乳を注ぐ女」「デルフト眺望」「窓辺で水差しを持つ女」「青いターバンの少女」の絵は、カラー図版で眺めていてさえうっとりすほどの出来栄えで、魅了されましたよ。
また、1945年に発覚したファン・メーヘレンによる贋作事件を紹介した件りと、別の絵の人物を置き換えて合成した「デジタル贋作」の試みに、かなり興趣をそそられました。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
非常に素晴らしい一品だと思います
。非常に洗練された魅力的なものになっていると思います。
買って良かったと思います。