ストーリーは微妙だが、評価できる点も多いおすすめ度
★★★★☆
この映画には、確かにわかりにくいところがたくさんある。説明不足な点
やいまいち納得いかない点がかなりある。お母さんがあんなに冷たい感じな
のには意味があるのか、お金を払うつもりだった両親の行動は豚にされるほ
どの失態なのか、カオナシとは結局なんなのか、あの世界では人間というの
は結局どういう存在として扱われているのか、名前を覚えていることの意味
とは...。
メッセージ性もいまいち不明確な感じである。第一番目は女の子の成長な
のだと思うが、第二番目が環境問題であるのなら、もっとはっきり描いた方
がすっきりするのではないか。
しかし、近年の支離滅裂に思える宮崎映画の中では、この映画は個人的に
はかなり好きな方である。
そのよさの一つは、風景のきれいさで、特に、水面の風景の美しさにはす
ごいものがある。向こう岸の夜の街の光が水に映る様子や、電車が水面を走
っていく様子、月明かりの水面など、とてもきれいだと思う。また、龍が空
を飛ぶ動きもきれいだし爽快感があってかなりいいシーンである。
また、第二点目は、音楽である。音楽の質がかなり高く、感動的なものに
なっている。BGMを聞くだけでもよい気分になれる。
それから、物語全体の世界観も、かなり独自性があっておもしろい。この
映画で描かれている世界は、一般人にはなかなか簡単には思いつかない発想
を基に形成されており、新鮮な驚きがあった。水木しげるが独自の妖怪ワー
ルドを作ったのと似たような独自性があり、評価に値する。
そして、主人公のキャラクターが、やや淡白だが、ふつうにいるような女
の子の感じをよく表現しているのが個人的にはよかったと思う。
もともとストーリー&メッセージ重視の自分としては、多くの人と同じく
確かに不満はあるが、よい点がたくさんあったので、星は4つとした。もち
ろん、ストーリーは改善の余地が大きく、これがよければ、と悔やまれると
ころではある。
愛っていいなぁ。おすすめ度
★★★★☆
これは、子供に何回も見せられました。30回くらい?とても良い愛の物語ですよね。千尋と白の因果もいいいですね、子が神を助け、親を助ける不思議な愛の物語ですね。湯屋や電車など美術も好きです。電車は僕の好きな道後温泉の一灯路面電車に似ていて、ノスタルジーがありますね。道後温泉に行くときは、必ず乗ります。夏の夕暮れ時とかに乗るといいですよー。顔なしが皆に金をばら撒き、千にお金をあげようとして、千に断られるシーンや、それが偽の金であるというところは、日本を代表する映画監督、溝口健二の傑作、西鶴一代女から着想を得ていると思います。声を担当した一流俳優陣もいいですね。クモ爺の菅原文太、湯ばあばの夏木マリ、お母さんの沢口靖子、いやーほんと、いいです。子供と何度も見ましたが、そのたびに新しい発見があり、飽きませんでした。お母さんはあまりに千尋にさっぱりしすぎていて、継母なのではないか?とかね。まあこれは僕と子供の想像ですけど。(笑)いやぁ、ホントに日本アニメって凄いですね。今更言うのもなんですが、傑作ですよ。
すばらしい
おすすめ度 ★★★★★
届いてからずっと気に入っています
。値段の割には上出来。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。
概要
わがままで無気力、どこにでもいるような現代っ子の千尋は、引越しの途中で、不思議な町に迷い込む。謎の少年ハクに手引きされ、八百万の神様たちが入浴しに来る「油屋(ゆや)」で「千」と呼ばれながら働くことになった千尋。さまざまな体験や冒険をとおして、少女は「生きる力」を取り戻していく…。
宮崎駿監督が、友人の10歳の少女に見せたいという思いから作り上げたこの『千と千尋の神隠し』。2001年夏に公開されるや、批評家筋からの高い評価と多くの観客からの支持を得て、それまでの国内映画興行記録を全て塗り替える大ヒットとなった。さらに、2002年のベルリン国際映画祭でも、グランプリにあたる「金熊賞」をアニメ作品としてはじめて受賞。全世界で、大きなセンセーションを巻き起こした。
『となりのトトロ』を彷彿とさせる「日本人の原風景」を美しく表現しながら、『もののけ姫』に負けずとも劣らない深いテーマ性を、『魔女の宅急便』のようなわかりやすくケレン味あふれる物語で展開したこの作品は、「硬」と「軟」という宮崎監督の2面性がほどよくミックスされ、宮崎駿作品の集大成と言える出来栄え。さらに、監督本人が「今回は若い人たちに大いに助けてもらった」と語っているように、従来の宮崎作品にはなかった「最近のアニメ」的要素が、脇役キャラの動かし方などの部分に感じられるのも意外な魅力となっている。
単なる一過性のヒットものではなく、長年にわたって称えられ続けるであろう傑作だ。(安川正吾)