松竹を退社した後に、実に重い題材を、エネルギシュに、大胆に描いた傑作である。人間の無知の狂気、エゴ、氾濫とありとあらゆる人間の醜さを描ききっている。すべての戦争への大島渚のメッセージである。飛行機一基飛ばすだけで、戦争を表現する!参った。
重いですおすすめ度
★★★★☆
太平洋戦争末期の困窮した山村を舞台にして、日本人社会の戦争責任をテーマに描いた大島渚の力作。テーマ自体が大きなもので、しかもそれを力押しに押した映画でありながら、決して図式的、観念的な絵解きだけの映画にはなっていないのが立派です。これは、脚本(あるいは原作?)の段階から、登場人物の性格づけが巧みであったこともあるでしょうが、俳優陣の好演によるところが大きいでしょう。
村の顔役(本家)を演じた三國連太郎、その妻の沢村貞子、分家の加藤嘉、山茶花究(絶品)、そして子役達。かれらは、日本人のある種のタイプ(都会生まれで20代までの人には分からないかもしれませんが)を実にリアルに体現しています。そして、かれらの演技が血の通ったものであるため、この映画は、戦争責任という範囲を越えて、さらに人間や共同体の根本的な「悪」まで突いているように思われました。すなわち、「それぞれが被害者と加害者の側面を持ちながら自分を被害者としてしか見ず、罪に対する責任を認めようとしない。罪を逃れきれない状況となれば、責任は立場の低い者、死んだ者、そしてよそ者(外国人)に押し付けられる」、そうした構造的な無責任です。
しかし、こうした人間や共同体がリアルに描かれているということは、彼らの貪欲や卑劣、卑屈がそれだけ生々しく観る者に迫ってくるということです(半端でない!)。結果として、映画は異様な重さと迫力を持つものになりました。正直、敬意は払いますが繰り返し観たい作品ではありません。
あと、画質について一言。画面はモノクロで、まあ良いのですが、一部シーンで影の部分が白く浮く(曇る)デジタル特有の不良現象(ちゃんと名前があると思うのですが分かりません)が起きていました。マスターが良くなかったのかもしれませんが、市販ディスクでお目にかかったのは初めてです。
まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★
わたくしめもついに買いましたよ
。TOP100ランキングに入っているのでご存知の方も多いと思いますが、
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。